岡山大学初のSRS実施
(2001/01/30)に関連する記事
Newspaper
Articles on Okayama University's First SRS
手術日以降の新聞記事
Articles On and After the SRS day (in
Japanese)
(中国新聞・2001/01/31)
'01/1/31
岡山大付属病院(岡山市)は三十日、生まれながらの性に違和感を持ち、別の性になりたいと望む「性同一性障害」の男性患者への性転換手術を実施した。正当な医療行為としての手術は埼玉医大に続き、国内二施設目となる。
手術チームは形成外科を中心に産婦人科、泌尿器科の合同スタッフ八人で構成。手術は午前九時半に始まり、男性器の切除、女性器の形成など約六時間かけて行われた。
術後の容体は安定しており、二週間ほどで退院する見込み。保険適用されず費用約百二十万円は全額患者負担となる。退院後は月一回程度通院し、専門家のカウセリングなどを受ける。
患者は幼いころから自分の性に違和感を持ち、肉体的、精神的に苦痛を感じてきたという。他施設で数年間、性ホルモンを投与するホルモン療法などを受けたが十分な効果が得られず、手術を強く希望していた。
岡山大では倫理委員会が昨年三月、精神神経科の黒田重利教授らのチームが申請した性転換手術を含む包括的治療の臨床研究を承認。昨年十一月にこの患者への手術が予定されていたが、患者が発熱し体調を崩したため、延期されていた。
医療行為としての性転換手術は、埼玉医大が一九九八年十月、国内で初めて実施し、同大ではこれまで計七例が行われている。岡山大ではさらに女性三人への手術を承認しており、日程を調整している。
▽解説 慎重さを保ち 理解深めたい
西日本初となる岡山大付属病院の性転換手術実施は、性同一性障害に苦しむ患者にとっては門戸が広がり朗報だろう。一方、手術はあらゆる手を尽くした後の「最終手段」だけに病院側には慎重な姿勢が求められる。
「疾患がある以上、患者が望む人生を送れるようお手伝いしたい」と黒田教授は術後の会見で述べた。長年タブー視されてきた手術が行われる背景には、全国に数千人いるという患者の切実な願いがある。しかし術後も、戸籍上の性別変更はできないなど現状が厳しいことは変わりなく、長期にわたる精神的なフォローが欠かせない。
ここ十年間で同大への通院患者は百人を超えたという。今後「まず手術ありき」で訪れる患者も予想される。執刀までに至る「高いハードル」の堅持が、この障害への社会的な理解を深めることにつながる。(金刺 大五)
【写真説明】国内2施設目となる性転換手術を行う岡山大の手術チーム=30日午前(岡山大医学部提供)
(山陽新聞・2001/01/31)
岡山大で性転換手術 性同一性障害の男性
国内2施設目 順調なら2週間で退院
生まれながらの肉体の性に強い違和感を持つ性同一性障害の男性患者に対する性転換手術が三十日、岡山大医学部付属病院(岡山市鹿田町)で行われた。正当な医療としての性転換手術は、埼玉医科大が一九九八年十月以降、女性から男性への手術六例、男性から女性への手術一例の計七例実施しており、岡山大は国内二施設目。
手術は形成外科の光嶋勲教授を中心に、産科婦人科、泌尿器科など約十人のチームが午前九時半に開始。陰茎の切除や尿道、膣(ちつ)の形成など進め、午後三時二十分に終了した。患者の容体は安定しているという。
術後、光嶋教授、公文裕巳泌尿器科教授、工藤尚文産科婦人科教授と、患者の診断に当たった精神科神経科の黒田重利教授らが会見し、今後の精神面のフォローの重要性を強調した。患者は医師団の「うまくいきましたよ」との呼び掛けに、うなずきかえしたという。
患者は順調なら二週間ほどで退院。その後、心理的なケアや、人工の性ホルモンを投与するホルモン療法を続ける。手術費や入院費約百二十万円は全額患者の負担となる。
患者は子供のころから、肉体的には男性でありながら自分では女性と認識。これまでカウンセリングなどの精神療法やホルモン療法をそれぞれ数年間ずつ行ってきたが、手術を強く希望していた。
手術に当たっては、精神科神経科の黒田教授らが九九年四月、関連する四診療科の専門医による「ジェンダークリニック」を組織。同大の倫理委員会や性同一性障害適応判定委員会に実施を申請し、昨年八月に認められた。
当初、同十一月二十一日に予定していたが、本人の体調不良のため延期されていた。
国内の性同一性障害患者に対する性転換手術は、六九年に十分な検討なしに行った産婦人科医が優生保護法(現・母体保護法)違反で有罪判決を受けたのをきっかけに大きく立ち遅れていた。埼玉医科大の実施を機に日本精神神経学会がガイドラインをつくるなど、正当な医療行為として認知されてきている。
国内には現在、患者が数千人いるとみられ、岡山大ではこれまでに百二人を性同一性障害と診断している。
性同一性障害 生まれついての肉体的な性と、自分の性別に対する認識が一致せず、体と精神のギャップに苦しむ状態。原因は不明で、発症時期やその程度はさまざま。国内の患者は二千―七千人とされ、カウンセリングやホルモン療法を経て、性転換手術が最終的な治療法となる。
心のフォロー不可欠 社会環境整備も課題に
解説
自分の肉体的な性を受け入れられず苦しむ「性同一性障害」の患者に岡山大が三十日実施した性転換手術は、根治ではなく「緩和治療」、「救済治療」の側面は否めず、術後の精神的フォローが不可欠となる。肉体を精神に近づけることはできても機能面を含めて完全に男、または女に変えることはできないからだ。
岡山大精神科神経科によると、同大のジェンダークリニックには大阪から福岡まで百二人が自分の体への違和感を訴えて訪れ、いじめや孤立感などで自殺まで考えた人が少なくないという。
だが、性転換手術は国内では長年タブー視され、性同一性障害の患者は十分な医療サービスを受けるのが困難だった。それだけに、埼玉医科大に続いて岡山大が手術を実施したことに、患者支援グループ「TSとTGを支える人々の会」を主宰する森野ほのほさんは「西日本に拠点ができ、性転換手術が社会に認知される上で意義がある」と岡山大の取り組みを評価する。
ただ、手術は最終的な治療法で後戻りできない。日本精神神経学会のガイドラインでも十分な精神療法、ホルモン療法が行われていることや、結果に十分対処できる人格など厳格な条件を定めており、実施には慎重さが求められる。
医療分野の取り組みが前進する一方で、戸籍の性別が変更できないことによる当事者の苦悩は切実とされる。法整備を視野に入れた国会議員有志の勉強会が昨秋、ようやく動き出したが、性同一性障害の患者への理解や、多様な性を受け入れる社会環境整備も今後の大きな課題となる。
(社会部・中田秀哉)
識者談話
治療の機会広がる
日本精神神経学会理事で性同一性障害に関する第二次特別委員会委員長の中島豊爾・岡山県立岡山病院長 岡山大が性転換手術を実施したことで患者の治療の機会が広がり、将来の実施施設拡大への突破口となる可能性もある。性転換手術は医療行為としての正当性は十分あり、医療の対応は軌道に乗りつつある。ただ、就労の場が狭いなど患者の環境は厳しく、差別や偏見を取り除くことが望まれる。
早期発見、支援を
性同一性障害者の心理的ケアに当たる清板芳子ノートルダム清心女子大助教授(精神衛生学) 性同一性障害では、心の在りようを出発点と考えるべき。心に体を合わせるのが理にかなっており、性転換手術は、この意味で自然な治療法だろう。幼児期から既に性別の違和感が始まっている人もいる。今後は子供にかかわる専門家の理解と連携で、早期発見と一貫したサポートが可能なシステムをつくっていくべきだ。
【写真説明】性転換手術を行う医師団(岡山大医学部付属病院提供)
(読売新聞・2001/01/30夕刊)
国内8例目の性転換手術
◆岡山大病院 埼玉医大以外で初
岡山大病院(岡山市)で30日午前、心と体の性の不一致で悩む「性同一性障害」の男性患者に対する性転換手術が始まった。これまで埼玉医大総合医療センターで正式な医療行為としては7例実施されており、国内2施設目。
2001年1月30日 東京読売夕刊
(毎日新聞・2001/01/30)
性転換:
国内2施設目の手術行われる 岡山大病院
自分の性に強い違和感を持つ「性同一性障害」の男性患者に対する性転換手術が30日、岡山大病院(岡山市)で行われた。同手術の実施は埼玉医科大(既に7例実施)に次いで国内2施設目。
手術は形成外科、産科・婦人科、泌尿器科などの約10人の医療チームが担当し、約6時間で終了した。患者は2週間で退院できる見通しで、その後は月に1回程度通院しながら、ホルモン療法や精神療法を継続する。
患者は子どものころから自分が男性であることに違和感を覚え、数年前からホルモン療法を受けていたが、症状が改善しなかった。
岡山大病院精神・神経科(黒田重利教授)らで作る「ジェンダークリニック」には、西日本各地から性同一性障害の患者が受診。同大学医学部適応判定委員会は、この日手術を受けた男性以外にも3人の女性に対する性転換手術を承認している。 【出水 奈美】
(日本経済新聞・2001/01/30)
岡山大病院で「性同一性障害」の2例目の手術
岡山大病院(岡山市)は30日、生まれながらの肉体の性に強い違和感を持つ「性同一性障害」の男性に対する性転換手術を開始した。正当な医療行為としての性転換手術の実施は、既に7例実施している埼玉医大に続き、国内2施設目となる。手術は同病院の泌尿器科と産婦人科、形成外科が合同で行い、光島勲形成外科教授らが執刀。男性器を切除した後、女性器を形成、約8時間で終了する。
患者の年齢など詳細は「本人の強い希望」で明らかにされていないが、男性は子供のころから肉体的な性別に強い違和感を持ち、これまで数年間、ホルモン療法を受けてきた。岡山大医学部の倫理委員会が昨年3月、性同一性障害の患者に対する性転換手術を含む包括的治療の実施を承認。岡山大病院に適応判定委員会が設置され、精神神経科の黒田重利教授らが同6月、この男性の手術を申請し、8月に同委員会から承認を受けた。手術は当初、昨年11月に予定されたが、男性が体調を崩したため延期されていた。
(山陽新聞・2001/01/30)
岡山大で性転換手術 国内2施設目≪夕刊≫
性同一性障害の男性
岡山大医学部付属病院(岡山市鹿田町)は三十日午前、生まれながらの肉体の性に強い違和感を持つ性同一性障害の男性患者に対する性転換手術を始めた。正当な医療としての性転換手術は埼玉医科大が一九九八年十月以降、女性から男性への手術六例、男性から女性への手術一例の計七例を実施しており、岡山大は国内二施設目。
手術は形成外科の光嶋勲教授を中心とした産科婦人科、泌尿器科などのチームが午前九時半から開始。陰茎の切除や膣(ちつ)の形成などを進め、夕方に終わる見込み。順調なら二週間ほどで退院する。手術前、男性はスタッフに対し「うまくいくことを祈っています」と話したという。
患者は、肉体的には男性でありながら自分では女性と認識。これまでカウンセリングなどの精神療法や、人工の性ホルモンを投与するホルモン療法をそれぞれ数年間行ったが、手術を強く希望していた。
手術に当たっては、同大精神科神経科の黒田重利教授らが九九年四月、関連する四つの診療科の専門医による「ジェンダークリニック」を組織し、同大の性同一性障害適応判定委員会などに実施を申請。昨年八月、認められた。
当初、同十一月二十一日に予定していたが、本人の体調不良のため延期されていた。
国内の性同一性障害患者に対する性転換手術は、六九年に十分な検討なしに行った産婦人科医が優生保護法(現・母体保護法)違反で有罪判決を受けたのをきっかけに大きく立ち遅れていた。埼玉医科大の実施を機に日本精神神経学会がガイドラインをつくるなど、正当な医療行為として認知されてきている。
国内には現在、患者が数千人いるとみられ、岡山大ではこれまでに百人余りを性同一性障害と診断している。
性同一性障害 生まれついての肉体的な性と、自分の性別に対する認識が一致せず、体と精神のギャップに苦しむ状態。原因は不明で、発症時期やその程度はさまざま。国内の患者は二千―七千人とされ、カウンセリングやホルモン療法を経て、性転換手術が最終的な治療法となる。
【写真説明】性転換手術に向かう医師団=30日午前7時35分、岡山大医学部付属病院
(読売新聞・2001/01/30)
岡山大が「性同一性障害」男性に性転換手術実施
岡山大病院(岡山市)は三十日、心の性と体の性との不一致で悩む「性同一性障害」の男性患者に対する性転換手術を行った。正式な医療行為としては埼玉医大総合医療センターで七例実施されており、岡山大病院は国内二施設目、西日本では初めて。
形成外科、泌尿器科などの医師ら約十人が担当。約六時間かけて、男性器を切除し女性器を形成する手術をした。術後の経過は順調で、問題がなければ二週間以内にも退院する見込み。
患者は数年間、精神、ホルモン療法を受けてきたが効果がなく、手術を希望。同大病院は昨年八月に、性同一性障害の適応判定委員会で手術を承認していた。
退院後も同大ジェンダークリニックが精神的、身体的なサポートを続ける。
医療スタッフは手術後の記者会見で、「手術は治療のステップで、ゴールではない。月一回カウンセリングを続け、長くフォローして行きたい」と話した。
(1月30日21:17)
(時事通信・2001/1/30)
岡山大学付属病院(岡山市)で行われていた自分の体の性別に強い違和感を持つ性同一性障害の男性患者に対する性転換手術は30日午後、無事終了した。
手術は同日午前9時半ごろ開始。女性性器を形成し、午後3時20分に終了した。
医師団によると、患者の容体は安定しており、今後2週間で退院できる見通し。
[時事通信社 2001年 1月30日 19:06 ]
(朝日新聞・2001/01/30)
性同一性障害の男性に性転換手術実施 岡山大
岡山大医学部は30日午前、自分の性に強い違和感を持ち、別の性になることを望む「性同一性障害」の男性患者に対する女性への性転換手術を始めた。学内の倫理委員会の承認を経た国内の性転換手術は、埼玉医科大が1998年10月以降7例実施しており、今回が国内2施設目。手術は昨年11月下旬に予定されていたが、男性患者に風邪とみられる微熱などがあったため延期されていた。
(14:39)
Copyright 2001 Chugoku Shimbun, San-yo Shimbun, Yomiuri Shimbun, Mainichi Shimbun, Nihon Keizai Shimbun, Jiji Press, and Asahi Shimbun